みなさん、こんにちは。
本日紹介する問題集はこちらです。
ちょっと前に改訂版が出版されました。
改訂されて、どんなところが変わったのか
どのような特徴があるのか
この有名な問題集は
どのような人たちが使うべきなのか、
くわしく見て
解説していきたいと思います。
良い問題集ですよー!
どんな本なのか
1996年に初版発売で
2020年に改訂されました。
出版社:日本入試センター
著 者:田村 秀行
価 格:¥880
大きさ:A5判
発売日:2020年6月24日
厚 さ:185ページ
色:1色刷り
それほど厚くはありません。
本体(講義&問題解説)と問題編に分かれます。
本 体:137ページ
問題編:48ページ(7題+参考問題1題)
構成
第一部 現代文の基礎を身につけよう
第二部 入試現代文に挑戦しよう
本書の本体は
以上の二部構成になっています。
第一部が現代文の読解方法の解説になっており、第二部が入試現代文問題の解説です。
第一部は改訂前と変わりません。
第二部は全面改訂です。
目次
【本体】
第一部 現代文の基礎を身につけよう(5ページ~74ページ)
1. 現代文は、これがわかればできる!
2. 現代文を解く道具はこれだ!
3. 現代文、ここまでわかれば立派!
第二部 入試現代文に挑戦しよう(75ページ~137ページ)
第一講 「日本語を生きること」
第二講 「身振りをしぐさの人類学」
第三講 「蝉」
第四講 「古都」
第五講 「流れとよどみ」
第六講 「与謝蕪村」
第七講 「知の旅へ」
参考問題 「日本国憲法」
【問題編】
題材は
結構面白かったです。
問題数
改訂前は5題でしたが、
改訂版は7題に増量されています。
プラス参考問題がありますので、正確には8題になっています。
各入試問題に対して
設問が5題~9題の構成です。
問題レベル
収録されている問題は入試問題なので、
現代文学習の初学者用問題としては
レベルは高いです。
第一講から
難易度は徐々に上がっていくように配列されています。
中盤以降は
学習者レベルを考えると
かなり難しいのではないでしょうか。
根拠が拾いにくく
設問の難易度が高いと言っても良いと思います。
問題は哲学、文芸論、文化論など、入試でよく出題されるジャンルの他、
随筆や小説の問題も収録されています。
この収録問題が
改訂前と完全に違います。
詳しさ
口語調で読みやすく、中学生でも読むことは可能です。
実際に、
中学生に学習してもらうと
第一部については理解し、
読むことができました。
第一部の
パート1 「現代文は、これがわかればできる!」では、
現代文の基本中の基本を確認することができます。
現代文とは何か、”客観的” とは何か、
現代文読解において
してはいけないことは何か、
本文をもとにして答えるとは何か、など
現代文に対する考え方や姿勢を知ることができます。
パート2 「現代文を解く道具はこれだ!」は
本書の読解法のメインパートとなります。
この目次を見ていただくとわかるかと思いますが、
本書では現代文を読み解く際の
論理構造の把握や文章構成をどう捉えるかといった内容は
書かれていません。
助詞、接続詞、指示語などの品詞に注目し、
それらの働きについて解説されています。
この知識は
現代文を読み解くときに
大変有効な道具になります。
接続詞や指示語に注目して読むことは
有名ですので
知っている方も多いと思います。
しかし
本書では
日本語特有の助詞の使い方に注意して
読み、
そして解くことについて
解説しています。
この助詞の解説を読むと
日常的に
無意識に使用している
助詞について
改めて知ることができます。
助詞を正しく理解することが
現代文読解の
強力な武器になることが納得できます。
パート3 「 現代文、ここまでわかれば立派!」では
“論理的” について解説しています、
ただ、
かなり簡素です。
このパートの結論としては、
実際の長い文章で確認していきましょうということに
なっています。
論理構造の把握や文章構成について
詳しく学びたい場合は
以下の参考書を学習すると良いと思います。
この “船口の最強の現代文” では
文章の構成が図示されて
文章が
どんな構造になっているかわかりやすく解説されています。
第二部では
実際の入試問題の問題解説がされています。
ここの部分が全面改訂です。
まあ、
問題が
改訂前と変わりましたので、
当然ですが。
まず、
問題が入試問題ですので
初学者とっては
結構ハードルが高いと感じます。
経験がないと
解答の根拠を見出すことが難しいかもしれません。
また、
解説は丁寧です。
しかし、第一部で説明されている
「助詞、接続詞、指示語」を駆使して、
読解し、
解答を導き出すのですが、
現代文学習を本格的に始める第一歩の参考書としては
難度が高いと感じます。
難しい参考書というわけではないのですが、
第二部については
現代文学習初心者にとって
少し苦戦しそうです。
使うべき人は誰か
“我流のなんとなく読解” から脱出したい人用
第一部は
内容的に「目から鱗」だと思います。
読みやすさとしても
中学生でも読めるレベルです。
いままで
なんとなく現代文を解いてきた人にとっては
現代文を読解することが
どういうことなのか
具体的に示されていて
感動します。
結構細かいとことに注意して読む必要があるということが
わかります。
それを
一定の試験時間内で処理するためには
他科目と同様に
知識をつけ
練習しなければいけないことも
理解できるはずです。
現代文学習の第一歩目の参考書として紹介されることが多い本書です。
たしかに、
そのような段階で使用しても良いと思います。
でも、
できれば
現代文を読むときの論理構成や文章構造の初歩的な学習をしてから
本書を学習した方が効果的ではないかと考えています。
これとか、
これら等を
学習してから
“やさしく語る現代文” を学習すると
現代文読解の土台が
かなりしっかりします。
そのあとは
学習計画にもよりますが、
一旦演習の期間をとるべきです。
アクセス基本などは
適切な演習用問題集になりますね。
学習方法
本書で最も重要な内容は
第一部です。
特にパート1とパート2です。
この知識を
完全に入力して
現代文読解時に利用できるようにすることが目標です。
実際に知識を使用しなければ
なかなか身につきませんので、
知識の入力ができたら
第二部で
解説を読みながら
第一部の知識を確認していきます。
おそらく
第二部の問題演習では
難しいと感じるでしょうし、
最初は解けないと思います。
重要なことは
第二部の問題演習を通じて
第一部の知識を固めること
そして
入試問題に対して
その現代文読解の道具を
実際に使用する感覚を味わい
再現できるようになることです。
第二部は
繰り返し学習し
解説を完全に再現できるようにし
設問に
正解できるようにしましょう。
到達レベル
現代文読解の入門突破、本格的な学習をスタートできる段階になる
正確には
本書の内容と、
本書には解説されていない論理構成や文章構造の把握する力をつけることで
土台の完成と言えます。
どんどんレベルアップさせて
現代文学習を進めていくことができます。
本書の内容だけでは
入試現代文を攻略することは難しいように思います。
ただ、
現代文と何か、
どこに注目し、何に注意を払って文章を見るのかということが
明確にわかります。
なんとなく読解からの脱却には
大変有用な参考書です。
現代文初学者、または初心者用問題集を学習した人には
とっても価値ある1冊です!