みなさん、こんにちは。
今回紹介する問題集は、
やさしい高校数学の問題集版ともいえる
「大学入試数学ⅠAⅡBおさえておきたい基礎100+応用100」です。
数学Ⅲバージョンもありますが
今回はⅠAⅡBバージョンの紹介です。
Ⅲバージョンはこちらの記事です。
どちらも旧課程対応です。
学年によって課程が違いますので
購入する際は注意が必要です。
おそらく
「やさしい高校数学」ほど有名ではないと思うのですが
解説が丁寧なうえに
かなりのレベルアップが見込める問題集です。
どんな本なのか
基本解法や有名問題解法を厳選した問題集
出版社:学研
著者:きさらぎ ひろし(やさしい高校数学の著者です)
発売日:2020年7月23日
¥2,420
基本レベル問題と入試レベル問題の分冊です。
基礎トレ編(左):203ページ 2色刷り
うかる編(右):470ページ カラー
左は本書2冊合わせた状態で
右は青チャートⅠAです。
厚さは、ほぼ一緒ですが
紙質が違います。
青チャートは紙が薄く
別冊解答も含めると1000ページ程度になります。
それに比べると
本書は670ページほどですので
ページ数は少なくなっています。
問題数
まだ新課程バージョンは発売されていません。
現在発売中のものの問題数になります。
基礎トレ編が基本問題、うかる編が入試有名問題です。
数学ⅠA | 数と式 | 集合と論理 | 二次関数 | 三角比と 図形計量 |
基礎トレ編 | 2題 | 2題 | 10題 | 4題 |
うかる編 | 1題 | 1題 | 14題 | 4題 |
数学ⅠA | データ処理 | 場合の数 確率 | 整数の性質 | 図形の性質 |
基礎トレ編 | 4題 | 14題 | 5題 | 6題 |
うかる編 | 1題 | 9題 | 10題 | 3題 |
数学ⅡB | 式と証明 | 複素数と 方程式 | 図形と 方程式 | 三角関数 |
基礎トレ編 | 2題 | 5題 | 6題 | 7題 |
うかる編 | 7題 | 6題 | 8題 | 3題 |
数学ⅡB | 指数対数 | 微分 | 積分 | 数列 | ベクトル |
基礎トレ編 | 5題 | 4題 | 5題 | 7題 | 12題 |
うかる編 | 2題 | 4題 | 3題 | 19題 | 5題 |
解法を入力する段階に使用する問題集としては
問題数が
かなり厳選されています。
ⅠA90題、ⅡB110題です。
チャートのような”網羅系参考書”と呼ばれるものは
普通はⅠA、ⅡBそれぞれの本で
150題前後の例題が掲載されています。
単純に問題数比較だけであれば
かなり抑えているということです。
たとえば青チャートのベクトルの例題は85題程度です。
一方本書のベクトルの問題数は17題となっています。
構成
単元は
検定教科書の配置になっています。
基礎トレ編は
問題→解答→定理・公式等の基本事項確認
という流れになっています。
問題ごとに
難易度や目標解答時間が表示されています。
巻末には索引があります。
うかる編では
問題→生徒の解答→会話、POINT→先生のうまい解答
という流れです。
途中右側に基本内容などの補足説明や公式が「キホン」として
載っています。
問題には
基礎トレ編同様に
難易度や目標解答時間が表示されています。
”生徒の解答”部分では
正解のこともあれば不正解のこともあり
まったく解き進められないということもあります。
そのあとの
先生と生徒の会話で
問題や解法を確認し
解くヒントが書かれています。
POINTには
問題を解くうえで重要な着目点が示されています。
最後に
”先生のうまい解答”として
模範解答や別解が載っています。
ときどき
コラムがあります。
知っておくと便利な内容や
公式の証明等です。
内容
問題は
基礎トレ編、うかる編ともに
国公立・私立大学の入試問題で構成されています。
基礎トレ編は
教科書に載っている基礎知識を使った問題レベルになっています。
問題形式の割合としては
穴埋め問題が多く載っています。
基礎トレ編については
「基本知識は問題ないよね。」というスタンスですので
詳細な解説はありません。
うかる編は
主に入試の有名問題を扱っています。
うかる編を学習することで
ひと通りの解法に触れることができます。
問題難易度は両編ともに5段階で表示されており
基礎トレ編は難易度1~3までの問題が多く
うかる編は難易度3~5までの問題が多く掲載されています。
目標解答時間は数分~25分で設定されています。
解説については
「やさしい高校数学」と同様に
語り口調で
かなり丁寧解説になっています。
別解が示されていることもありますが
アプローチアングルが豊富というわけではありません。
でも
教科書レベルを抜けたばかりの人にとっては
本書の丁寧さで
多くの解答方法よりも
”一本の道”を示す方が良いかもしれません。
多くの経験は過去問演習で。
使うべき人は誰か
教科書知識の問題演習と入試有名問題の解法入力をしたい人
教科書の知識を確認した人は
本書に取り組めます。
この本は問題集です。
つまり
基礎理解・基本知識入力は済ませておく必要があるということです。
基礎知識をつかって問題が確実に解けるということは
実は非常に重要です。
知識的に言えば共通テストには対応できますし
一般入試試験で出題される問題にも
かなりの部分で対応できます。
ただ
このレベルの知識や問題演習を疎かにして
先に進んでしまう人が
いつも
変わらず
大勢います。
基礎トレ編は
その基礎知識利用の問題演習ができて
理解できているのか
定着しているのかの確認になるので有用です。
基礎知識で解ける問題だけを集めた問題集って
案外少ないですから。
うかる編では
本格的な入試レベル問題演習に突入していくための
最低限の問題解法が載っています。
結構ハイレベルな問題も収録されています。
問題解法の修得と言えば
チャートなどの網羅系参考書で学習する人が
多いですが
網羅系参考書の解法量を
学習して入力&定着となると
それなりの長い期間が必要です。
本書は100題でⅠAⅡBの有名問題の解法に
ひと通り触れることができます。
受験勉強の方針は人によると思いますが
僕は過去問演習に入れるのならば
可能な限り早く取り組むべきだと思っています。
そのほうが
本物の試験問題で効率的に学力が上がるので。
しかも志望大学の出題傾向がわかり
集中すべき分野もわかります。
一般的な網羅系参考書は
穴をなくすことはできますが
仕上げるまでには精神力と時間を要します。
本書の厳選された問題を解き
解法を入力することで
ハードルの高かった過去問演習に
早期に取り組むことが可能になります。
「時間がない!!最低限の学習で過去問演習に入りたい!!」
そんな人には
有効な問題集だと思います。
学習方法
教科書の知識入力はしておく必要があります。
基礎トレ編では
「知識はOKですね。では問題演習しましょう。」というスタンスです。
詳細な解説はなく、解答のみが載っています。
本書は問題集なので
いきなり
数学を0から
学習することはできません。
おそらく「え?意味わからない。」で終了します。
まずは
学校の授業、同程度の講義、参考書や問題集で
基礎基本を理解し、知識を入力します。
参考書・問題集であれば
以上のような本がイイと思います。
その後に本書で
基礎トレ編、うかる編を順番に学習します。
この問題集のあとに
本書を学習してレベルアップを計るという方法もあります。
結構、良い感じにステップアップできます。
学校の授業といっしょに
「やさしい高校数学」を使ってきた人には
綺麗にこの「おさえておきたい」に進んでいけると思います。
本書学習後は
一般的な大学の
過去問演習に進んでいけます。
最難関大学を志望していて
試行訓練用の演習問題集に取り組みたいのなら
以下の問題集が良いですね。
どれも
良い問題集ですよ。
到達レベル
仕上げれば過去問演習に進める
実は結構レベルの高い問題も載っています。
問題数から考えると
網羅度に不安を感じますが
丁寧に完成させると過去問演習に耐えることができます。
広島大とか北海道大とか
普通の入試問題を出題する大学には
もちろん十分対応できますが
旧帝大上位の大学であったり
早稲田や慶應の問題でも割と解けます。
まあ
難しい大学というのは
知識ではなく論理やアプローチが難しいのですけれど。
でも
この問題集と比較しながら
難関と言われる大学の入試問題を解いてみるとわかると思います。
「あれ、解けるかも」って。
過去問演習を単なる演習で終わらせず
新たな知識を吸収する学習段階として位置付ければ
過去問演習前に
解法を網羅しておく必要などないのです。
一般的網羅系参考書の学習する時間がない人は
本書を利用して
高速で必要な解法をおさえ
段階的に大学のレベルを上げて
過去問演習をすることで
予想以上の結果が出るはずです。
当然
共通テストへの対応も問題ありません。
共通テストは情報処理能力という知識以外の能力を高める必要がありますけど。