みなさん、こんにちは。
今回紹介する問題集は、
河合出版「文系の数学 重要事項完全習得編」です。
この本は本当に良著だと思います。
2024年 改訂版
姉妹書には
「青い本」もあります。
この実戦力向上編は結構難しいです。
この記事で
詳しく見ていくほうは
「赤い本」の重要事項習得編です。
なぜ良い問題集であると言えるのかを具体的に説明していきます。
どんな本なのか
端的に言えば
「教科書内容完全習得確認&本格的な入試対策や過去問演習へ!」というものです。
実際のところ、本書だけでも対応できる大学は数多くあります。
出版社:河合出版
著 者:堀尾豊孝
価 格:¥1,210
大きさ:A5判
発売日:2013年7月1日
本 体:208ページ、2色刷り
別冊解答:60ページ、白黒
本書内の演習問題の解答は別冊になっています。
構成
目次
文系の数学 重要事項完全習得編ではⅠAⅡBの内容を扱っており
152題の例題で重要テーマを解説し、120問の演習問題を収録してあり
2部構成になっています。
単元順は主要検定教科書どおりの配置で
「例題→解答→解説講義→必勝ポイント」と
152題のすべての問題で同様の構成になっています。
ときどき「OnePointコラム」が載っています。
レイアウトは綺麗で
整理され
まとまっています。
OnePointコラムでは
少し深く掘り下げた内容が書かれています。
「こんな問題の場合は・・・・」
「公式の証明は・・・・」
「式の意味は・・・・」など
さらに理解を進める解説がなされています。
問題数
例題152
数学Ⅰ
数と式 | 2次関数 | 三角比 | データの分析 |
6題 | 11題 | 7題 | 4題 |
数学A
集合と論理 | 場合の数・確率 | 図形の性質 | 整数の性質 |
4題 | 14題 | 4題 | 9題 |
数学Ⅱ
式と証明 | 図形と式 | 三角関数 | 指数・対数 | 微分・積分 |
17題 | 12題 | 9題 | 11題 | 16題 |
数学B
ベクトル | 数列 |
12題 | 16題 |
演習問題120題
本体巻末に演習問題120題が載っており
その解答は別冊になっています。
演習問題が
152の例題のどれと関係があるのかという記載はありません。
演習問題を解いていて
確認の際に
例題のどこに戻るべきか面倒な場面があります。
この本が名作といわれる根拠の1つに
無駄のない問題選定があります。
152題でⅠAⅡBの骨格を学ぶことができ
その問題は入試問題で、しかも良問と言われている問題です。
大変よくまとまった問題集だと思います。
基礎問題精講も網羅系問題集に比べれば
収録問題数は少ないですが
そちらと比べても
152題という問題数はかなり絞ってあります。
収録問題は
かなり「厳選」されていますが
全体骨格は本書でしっかりと組み立てることができます。
どんなことでも「厳選」するということが
難しく
腕の見せ所ですが
その点で
この本の著者の実力が感じられます。
堀尾先生、すごいっす。
ただ抜けている問題もあります。
本書において抜けている有名な箇所は「背理法」です。
また
「三項間漸化式」「確率漸化式」なども抜けています。
演習問題は
例題よりも少し難しくなっていますが
単元によっては
例題よりも演習問題の方が一般的な典型問題なのではないかと
感じる問題もあります。
抜けている問題は
他教材や次のステップでの問題演習で補えば良いですし
「骨格を確認する」という意味では
十分な構成になっています。
問題レベル
教科書章末~入試基礎 ぐらいです。
教科書より少し上のレベルの問題で
入試で出題されるような典型的な問題の一番簡単レベルが収録されています。
収録されている問題は
入試において
「絶対正解しなければならない問題」です。
精選された問題で解法確認をすることは大変有意義ですし
難しくはありませんが、
解いていくと案外ミスがあると思います。
入試を突破するためには
正解すべき問題で確実に正解するということが何よりも大切です。
本書は
そのレベルの問題に対して
自分の精度を明確に示してくれます。
教科書問題に毛が生えた程度ではありますが
このレベルの正解精度が低い人は大変多く、
実際に本書を完璧に仕上げると
全統記述模試などの一般的な記述模試では
鮮やかに偏差値60を超えます。
詳しさ
解説は細かく丁寧です。
計算過程も詳細に記載されています。
躓くかもしれない箇所には
補足説明や注釈があり
理由や根拠を示しながら解答の道程を解説をしています。
すべてが重要問題なので
解説内の情報はすべて重要情報といっても過言ではありません。
例題の1つ1つに
解説講義と必勝ポイントがあり
重要事項と問題の着眼点を効率よく身につけることができます。
別解については多いわけではありませんが
紹介が必要と考えられるものは掲載されています。
本書利用レベルの学習者によって
不適切と思われる別解は省略されている感じです。
使うべき人は誰か
文理問わず教科書問題を修得後に学力を飛躍させたい人
教科書修得後、受験数学へ飛びたい人が1冊目に使用する問題集として
大変良いと思います。
もちろん
チャートとか、レジェンドとか
網羅系問題集をガシガシ学習している人は
それを進めれば良いですが
そのような学習が時間的にできない人や
網羅系では挫折してしまう人などには
適しています。
ただし
教科書内容を0から学ぶ教材ではありません。
収録問題はすべて入試問題なので
教科書の問題は解けるようになった後で使用しなければ
効率的に学習を進めることができません。
教科書レベルの知識修得については
学校の授業と教科書がいちばん手っ取り早いですが
以下のような参考書・問題集でも修得可能です。
文理を問わず偏差値が60を突破しない人
まじめに
一所懸命に学習しているのに
偏差値が55程度で上下している生徒に
この本を学習させると
覚醒するかのように
さらりと偏差値60を超えることがあります。
その原因のすべてが本書ではないのかもしれませんが
結果として
迷走していた学力は
学習後に向上しています。
確認&知識整理で使用すると
予想以上の効果があるのではないかと思います。
数学Ⅲについては
演習問題のレベルが統一され
さらに良くなった印象です。
出版されています。
本書と似たようなレベルの問題集に
以下のようなものもあります。
こちらの方が
本書よりも
問題レベルが少し高いところまで収録されています。
さらに網羅性も高く
かなり良い問題集です。
ただ
説明の詳しさでは
本書「文系の数学 重要事項完全修得編」の方が上ですね。
学習方法
すべて最重要事項だと考えて
問題、解答、解説授業、必勝ポイントのすべてを入力し
瞬間で引き出せるように繰り返します。
例題は152題ですから
ゆっくり学習しても3カ月ほどで仕上がります。
燃え上がれば
2週間ぐらいで1周できますので
2ヵ月もあれば反復回数も十分で定着するはずです。
実はこの問題集の
演習問題は結構くせ者です。
微妙に難しい問題もあります。
難しいというか
例題になかった問題であったり
例題で学ばなかったパターンの問題であったり
数列分野のように演習問題のほうが重要じゃないかと思う
分野があったりと
なんとなく整っていません。
若干の混沌さを与えて鍛えるという意味なのかもしれませんが。
全体的には演習問題は良い訓練になると思います。
勉強というのは出力が重要な学習過程なので
どんどん演習しましょう。
姉妹書の「実戦力向上編」は難しいです。
この本が仕上がると一部の大学以外では
ほとんどの入試問題数学で
合格得点がとれるでしょう。
「重要事項完全習得編」の完成後
「実戦力向上編」がイイかなと思って
生徒に渡すと
誰もが
全然進まなくなってしまいます。
キレイに接続できそうなのですが
厳しいとのことです。
ほかの問題集で
次のステップの学習をさせています。
例えば
この本とか。
きれいにステップアップできると思います。
到達レベル
偏差値60突破!
突破します。
つまり結構多くの大学に対応できます。
地方国公立大学とか
マーチとか関関同立とか
過去問演習で鍛えれば戦えるレベルになります。
演習で鍛えなければダメですけれど
過去問演習で耐えれるレベルにはなります。
旧帝大や医学科、早慶レベルは
本書学習後
次のレベルにアップさせて学習する必要があります。
これを学習できれば文句ないのですが
この本は結構難しいので
その他の適切なレベルアップ問題集で学習をして、
その後
過去問演習で鍛えれば
低めの旧帝大などの大学にも挑めます。
理系問題集であれば
こちらもおすすめです。
ちょっと難しいかもしれませんが
解説はとても丁寧です。
2024年 改訂版
こちら旧版です。
完成された名作だと思います。
美しさすら感じます。