みなさん、こんにちは。
本日紹介する問題集はこちらです。
とても有名な問題集です。
有名な問題集ですが、
学習対象者は限られます。
同シリーズで
上位レベルの問題集も発売されています。
この “ハイレベル” はかなり難しい、、という話です。
問題を見たことがないため
どんな感じで難しいのかはっきりとはわかりません。
ふつうは
この本に取り組む時間的余裕はないと思います。
“プラチカ” が改訂されているので
本書 “やさしい理系数学” も
改訂されないかなぁぁ と
ずっと、ずーーっと待っていたんですが
そんな雰囲気はまったくありません。
ということで
もう10年以上改訂されていませんが
根強い人気がある本書を
詳しく見ていきたいと思います。
基本的に
本書を学習している生徒がいたら
一旦
「おい、ちょっと待て。」と止めます。笑
どのような問題集か、
誰が対象なのか、
内容を確認しながらクリアにしていこうと思います。
どんな本なのか-内容・難易度
出版社:河合出版
著 者:三ツ矢和弘
価 格:\1,386
大きさ:A5判
発売日:2013年7月
厚 さ:本体-136ページ、別冊解答-140ページ
色:単色
厚さは普通です。
別冊解答が本体と同じ厚さです。
これは解説が多いというわけではなく、別解が多いため厚くなっています。
解説はほぼありません。
構成
全15章で構成されています。
各章で数題の例題が載っています。
そして、その例題の考え方、解答、出題の背景が記載されています。
各章の最後に演習問題があります。
別冊解答は
演習問題の解答が載っており
非常にシンプルな構成です。
演習用教材です、
「ザ 問題集」です。
目次
問題数
例題 50題、演習問題 150題で全200題の問題が収録されています。
章 | 範囲 | 例題 | 演習問題 |
第1章 | 数と式・論証 | 4題 | 14題 |
第2章 | 関数と方程式・不等式 | 3題 | 9題 |
第3章 | 平面・空間図形 | 3題 | 10題 |
第4章 | 図形と方程式 | 3題 | 10題 |
第5章 | 三角・指数・対数関数 | 2題 | 8題 |
第6章 | 微分法 | 3題 | 7題 |
第7章 | 積分法 | 5題 | 10題 |
第8章 | 数列 | 3題 | 10題 |
第9章 | ベクトル | 3題 | 10題 |
第10章 | 場合の数と確率 | 4題 | 11題 |
第11章 | 複素数平面 | 3題 | 10題 |
第12章 | 式と曲線 | 2題 | 8題 |
第13章 | 関数と数列の極限 | 3題 | 8題 |
第14章 | 微分法とその応用 | 3題 | 8題 |
第15章 | 積分法とその応用 | 6題 | 7題 |
問題レベル
いわゆる
入試レベルの応用問題が載っています。
ほとんどが国公私立大学の過去問、有名典型問題、頻出問題で、
なかなか難しい問題が多く収録されています。
難しいといっても難問奇問ではありません。
良問と言われる問題が集められています。
この問題集を学習できる段階まで
まじめに数学に取り組んできた人であれば
本書の問題の
5割ぐらいは解けると思います。
標準レベル模試で
ある程度の偏差値が
出ているにも関わらず
半分ぐらいしか解けないということは
少々ショックかもしれません。
良問で頻出問題なのに
なぜ
難しく感じるのかというと
頻出・典型問題であるということが
初見ではわかりにくくなっているからです。
これは
非常に重要なポイントです。
関数で解く問題かと思ったら
ベクトルの知識を使う問題だったり
数列の問題かと思ったら
図形的に考える問題だったり
解答を見れば
「おっ!そうか!」
と気づき
当然知っている解法を利用して解いているのです。
“コーティング”された問題文から
適切な解き方を見つけるという点が
難度を上げています。
適したレベルの人が
本書に取り組むとわかると思います。
「この本を制覇すれば数学学力が飛躍するぞ!」と。
この本の問題が解けるようになれば
数学においては
かなりの学力になっています。
分野を横断する問題が豊富で
「なんか、良い問題だなあ~」と感じます。
最難関大学において
合否を左右する重要な問題が
収録されていると言えます。
ひと通りの解法を修得した人であれば
解ける問題が結構あります。
解けそうと思える問題もたくさんあります。
本書に掲載されている問題に取り組むことにより
解法暗記だけでは
最難関大学を軽々と超えていくことはできないんだと
改めて感じることになるでしょう。
問題文の抽象度が高くて
複合的であり、
条件を正確に読み取らなければならない問題が多く、
かなりの計算力を要する場合もあります。
解答のためのアプローチに悩むと思います。
けっこう難しいですが
最難関に挑むための
非常に良質な訓練が積める問題集となっています。
詳しさ
解説は詳しくありません。
詳しくないというか、
解答と豊富な別解の記載があるのみです。
他に
考え方や背景の記述がちょこっとある程度です。
「なぜこの方針で解くのか」「なぜこうなるのか」
といった解説は皆無です。
そのような解説が欲しい人は
別の問題集を学習した方が良いですね。
式変形の省略も多く、
解答を読み解く力がなければ、得られるものが極端に少なくなる数学の問題集です。
解説はありませんが
選題が良くて、解答も洗練されていて、別解も豊富です。
別解については
「式変形で解く」「ベクトルで解く」「関数で解く」
といったように
同じ問題に対して
まったく別のアプローチで解く問題も掲載されています。
解説はありませんので
本書の素晴らしい解答や別解を見て
自身で
着眼点やアプローチ、解答への方針を読み解いていく必要があります。
基本解法を修得した人が
取り組む問題集ではありますが
解説がないので
理解に苦戦することもあります。
「これ無理だー!」と判断したのであれば
以下の問題集を学習してから
本書に戻ると
解答や別解の理解度がかなり上がります。
この本は有名ではありませんが
非常に”使える”問題集です!
やさしい理系数学が苦しい時は
この本に取り組んでみて下さい。
使うべき人は誰か
基本解法を修得した東京大学志望者、旧帝医学部志望者
前提として
基本解法が修得されている人が対象です。
これらの問題集を完全に修得した人、
または
網羅系問題集の学習を終えた人が
取り組む問題集です。
解説は無いと言っても良いので
エレガントな解答や別解から
解き方はもちろんですが
方針や考え方、発想などを読み取る力が必要です。
身につけた基本解法を使って
どのように問題を解き崩すかという訓練用の
試行問題集です。
解法暗記用の教材ではありません。
「思考・試行」で
問題に対して
どのようにアプローチして
どんな方針で解くのかを
検討し決定し実行してみるということを
訓練する問題集です。
ほとんどの人にとって
不要な問題集ですが、
東京大学理系志望者は過去問演習前に
本書に取り組むと
自身の学力と東京大学の入試問題レベルの
乖離が小さくなって
過去問演習を突き進めさせることができます。
東京大学合格の光が少し見えると思います。
ただし
少し手薄かなと感じる範囲もあります。
確率漸化式とか。
心許ない範囲は
過去問演習で補いましょう。
京都大学志望者は
本書を学習しても良いと思いますが
これを学習すべきです。
こちらの方が
さすがに京大に傾向が合っています。
阪大以下の大学で
本書を必要とする大学はありません。
過去問演習にさっさと進みましょう。
過去問演習前に
入試問題演習を行いたいのであれば
こちらの方が良いと思います。
旧帝大の理系、または同等の大学の志望者は
「やさしい理系数学」に取り組まず、
「核心」をやるか、
過去問演習に突入した方が合格すると思います。
「やさしい理系数学」は少々やり過ぎです。
まあ、
志望大学の傾向として
本書の問題が合致していて
時間的に余裕があるのならば
やってもいいと思いますが。
他の科目との兼ね合いや
合格に向けた科目ごとの戦略もあるはずですので
本書を使用するか
よく考えたほうが良いです。
旧帝の医学部志望というのであれば
入試レベルや傾向を見たうえで
”必要である” ならば
「やさしい理系数学」を
学習しておくとよいと思います。
でも、「要検討!!」です。
志望大学の傾向をよく調査してください。
たとえ難関大であっても
方針がすぐに立って
解法が決定できて
きれいに
解答まで一直線の入試問題であるなら
本書不要です。
本書を学習することで
遠回りします。
東大と
旧帝医学部のほんの一部が対象の問題集だと思います。
旧帝医学部については
「必要かなあ」という大学が多いと思いますので
使用は要検討です!
学習方法・使い方
ザ・問題集ですので
ふつうに
解いていくことになります。
例題を解いて、演習問題を解いて、と。
注意点は
本書利用の目的は
「解法を暗記する段階ではない」ということです。
解き方が思いつかないからといって
すぐに解答を見て
確認するという学習方法では
本書を使用するメリットが激減します。
どのような方針で解答していくのか
自分の知識を組み合わせて
解き崩していく訓練をするのです。
最難関の大学の入試問題が難しい理由は
問題を解くためのアプローチが見えにくいからです。
問題文から
解答方針を立て、
試行錯誤しながら
解答にたどり着くという訓練を本書で行います。
別解が2個、3個と載っています。
「どれか1つの解答を理解し、使えるようにしておけば良い。」
というものではありません。
それぞれの別解で
何に注目して
どのように考えて、その解答方針になったのかを考えます。
1つの問題について
多角的に見る能力を高めます。
繰り返し解くことにはなります。きっと。
「こんな解き方、ふつうはしないゼ。」というものもありますが
別解の視点は理解して
問題を多角的に見ることができるようにして、
最終的には
自力でゴリゴリ問題を解けるようにしましょう。
別解も使えるようにしましょう。
到達レベル
東京大学過去問演習に進むことができる!
原則として
使用対象は東京大学理系志望者です。
解法をインプットできたからといって
東京大学をはじめとして
難関といわれる大学の入試問題を
スラスラ解けるようになるわけではありません。
修得した解法を
どのように使用して問題を解くのか、
問題に
どうアプローチして
解くための方針を立てるかが難しいのです。
「この場合は、どっちの解き方を使うべきなんだ?」
と迷うこともあります。
このアプローチ選定や解法選択の訓練が必要となります。
基本解法を修得して
問題アプローチの訓練として
試行錯誤するための問題集が
本書なのです。
豊富な別解を通して
見方が多様になり
より数学の力が強化されます。
本書を仕上げても
やはり
東京大学の入試問題は難しいと感じるはずです。
「東大理系って、なかなかスゴいんだな。」と改めて思います。
本書を正しく仕上げれば
過去問の解答を読み解くことも確実にできるようになっています。
過去問を利用した演習ができる状態には達しています。
過去問演習を徹底的に行い
合格平均が安定して取れるようにしましょう!
プラチカの方が人気があるようですが
こっちの方が好きですね~
これで
丁寧な解説が付いていれば最高だと思うのですが、
解説が付いていないから
逆に
めちゃくちゃ考えるのかなぁとも思います。
本書を利用する場合は
できれば
指導者がいると良いですね。
安心です。