みなさん、こんにちは。
今回紹介する本は
学研「船口のゼロから読み解く最強の現代文」です。
この本は
高校生の現代文学習「1」冊目にすすめています。
評論文をどのように読めば良いのかを
わかりやすく講義してくれています。
初学者が現代文の正攻法を学ぶ一歩目として
大変良い問題集だと思っています。
どんな本なのか
出版社:学研
著者:船口明
価格:¥1.210
本体である「解答解説編」(236ページ)と「問題編」(56ページ)の
2冊分冊です。
以上目次です。
step1とstep2に分かれています。
step1で現代文の読み方を学びます。
「抽象具体」「対比」「並列添加」の評論文における主要な読解法を
文章を通して学びます。
そしてstep2では、学んだ読解法を
10題の文章を利用してトレーニングしていきます。
目次を見てもわかるとおり
この本は
現代文と言っておきながら
文学的文章はありません。
評論文のみです。
小説などの対策は別の教材を使うことになります。
さて
内容について。
読解法の王道が解説されています。
この本では主に
「抽象具体」「対比」「並列添加」をもとに
読解していきます。
この読解法を身につけるだけでも
入試問題における現代文の見方が変わります。
むかし
林修先生が
思考は「類比」「対比」「因果」の作業に集約されると
言っていました。
この本は初学者用ではありますが
同じ方向の考え方に基づいて作られていると言えます。
現代文初学者には難解なのでは?という印象を与えたかもしれませんが
難しいわけではなく
語り口調のため非常に読みやすく
現代文の学習に初めて取り組む人もスムーズに入っていけます。
問題数
STEP1 5題 〔正しい読解法講義〕
STEP2 10題 〔読解法のトレーニング〕
STEP1で「抽象具体」「対比」「並列添加」を学びます。
STEP2で読解法を利用しながら文章を読み
どのように問題に対してアプローチして解答するかを学びます。
構成
「最強の現代文」の基本構成は
まず問題文をどのように読んでいくかを解説します。
文の構造をビジュアル的に理解しやすくしており
その解説も平易で
大変わかりやすくなっています。
実は現代文において
「どのように”解く”か」ということの前に
「どのように”読む”か」ということが重要です。
現代文ができない人は
この”読み”のところで
正確な学習ができていないことが多く
正しく文章を読めないまま、
文構成を理解する能力のないまま、
”解く方法”のほうに突き進んでいます。
現代文では
最初に「どのように読むのか」を修得する必要があり
この「最強の現代文」では
「どのように読めば良いのか」
「注目する箇所はどこなのか」が
わかりやすく書かれており
現代文初学者にとって最初に学ぶべき知識が
わかりやすく載っています。
現代文学習のスタート時に
本当に必要なことは
本文をどのように読むのかということであり
この本では
写真のように
本文内容を図解し
文構成を大変わかりやすく図示しています。
その文章把握をもとに
問いの解説に進みます。
問題の種類別によるアプローチポイントや
選択肢問題の選択肢吟味など
本文把握だけではなく
問題に対しても
正答にたどり着くプロセスが
詳しく解説されています。
現代文を読むとき、そして解くときの思考プロセスが表示されており
なんとなく読んで解くことをなくすための本、
それがこの「最強の現代文」です。
使うべき人
大学受験現代文の学習をスタートする人
高校生で現代文の学習をスタートさせようと思っている人には
適した学習参考書1冊目になると思います。
ただ、平易とは言っても題材の文章は高校レベルのものです。
そのレベルの文章を読むことができなければ
「難しいなあ」と感じることになります。
以前、
塾で
この本を中学生にやらせてみたところ
「文がなんか難しいです。」とのこと。
解説は理解できるようなので問題はないですが
題材の文が難しいと感じるようで
総合的に中学生には「なんかムズイ」という印象になるようです。
でも、
基本的には多くの「現代文学習初学者」に適していると思います。
現代文読解法の基礎固め
修得できる読解法は王道です。
「抽象具体」「対比」「並列添加」です。
これらは
安定した読解をする上で必要不可欠な知識であり
自由に使えるようになるべき知識です。
読解法だけで言えば
「抽象具体」と「対比」だけでも
乗り切れる大学入試はかなりあります。
それらが
身についていない受験生には
基礎を確認し
修得するための良い教材です。
逆に言えば
それらが身についている学習者には
不要な教材であるともいえます。
「なんとなく読み」から脱却するための参考書なのです。
大半の現代文(評論文)学習者にとって
スタート教材として適していますが
これ以前の学習が必要な人もいるでしょう。
そのような人は
以下に紹介するような
もう少し簡単な教材を学習して
のちに「最強の現代文」を学習すると良いと思います。
初学者用の参考書で
以下も有名です。
「田村のやさしく語る現代文」は改訂されており
改訂前より少し難しくなった印象です。
第一部については
中学生でも普通に取り組めます。
第二部は
問題演習の解説で
結構難しいです。
前段階としては
このような問題集も良いですね。
高校入試用の問題集です。
塾では
高校受験をする
ほぼ全員に使わせています。
「最強の現代文」を進めることができるのならば
そのまま学習し
「ちょっと苦しくて進められない」となれば
これらの前段階教材を検討すれば良いのではないでしょうか。
学習方法
「わかった」と「使える」は違います。
つまり再現できないといけないのです。
本書を読み進め
問題を解き
解答解説を熟読し
理解し
復習再現します。
通常の問題集と同様です。
ただし
1回解き、確認した程度で
身についているということはありません。
わかりやすいので
理解することに大きな抵抗はないでしょう。
しかし、それが「使える知識」になっているということとは
同義ではありません。
問題文はコピーして
何度もまっさらな状態から
解説どおりのプロセスで
正解に至るかを確認します。
本文にラインを書いたり
文構成が正しく図示できたり
船口先生の思考プロセスが
何もヒントのない状態から
再現できるのかが大切なのです。
1周程度の学習で
完全再現ができるようになることはありません。
ふつうは。
何度も繰り返して
思考プロセスが再現され
常に正しく正答にたどり着くかを試してください。
勉強一般に言えますが
とにかく
「しつこく」やることです。
繰り返すと
答えは覚えてしまいますが
そこは重要ではありません。
最も重要なことは
「思考プロセスの再現」なのです。
再現ができるようになった後は
その思考プロセスを演習によって使用する練習をします。
15題だけでは
練習量が足りているとは言えません。
到達レベル
読解法基本の修得&中堅大学突破の必要知識修得
読解法の基本である「抽象具体」「対比」によって
簡単な大学は突破可能です。
漢字や語句・テーマの知識があれば
偏差値55程度には達するはずです。
この本では
初見の文章に対して
基本読解法を利用し、
どのように読み、どのように考え、どのように解くかが書かれています。
語句や現代文テーマの知識量によっては
MARCHや関関同立のラインまでも
食い込めるかもしれません。
それだけ
基本の読解法知識というものは重要で普遍的です。
通常は
もう少し読解法を増やすために
この池上先生の本で学習したり、
読解法定着のために「アクセス基本編」等で演習を積むことが多いですね。
語句やテーマについては
いろいろとあります。
「現代文キーワード読解」はよく推薦している本です。
結構良い本です。
ここまで
徹底して学習できたのならば
以下の問題集に接続することが可能です。
ちょっと難しいかもしれませんけれど。
そして
本書シリーズで
記述対策用の参考書も出版されています。
これも
非常に良い参考書です。
記述対策を必要としている人で
「どうやって記述解答を作成すれば良いのかがわからない!」
という人には最適です!
現代文初学者は
まず現代文の基本読解法を身につけましょう。
現代文の読解力は
他の科目の能力向上に関わる論理力につながります。